4.学校の施設やカリキュラムに手を加える(新校舎建築・新制服・コース改編など)

四つ目は、学校の施設やカリキュラムに手を加えるケースについて考えてみましょう。まず初めに、応募者の増加につながりやすいコース改編について見ていきます。現在では、一部の難関レベルの高校を除けば、ほとんどの高校がコース分けをしていますが、コースの分け方にはいくつかの変遷を経ています。

2000年代になり特進コースができ始めた頃は、全体の中で一部のクラスをレベルアップさせた「特別進学クラス」が設置されました。また、理数系や英語に特化した「理数コース」や「英語コース」などが新設されてきたのもこの頃です。

近年では、特進コースの上に「スーパー特進コース」を新設したり、従来からの2コース制を4コース制へと細分化したりという動きが目立っています。基本的に上位コースは、週当たりの授業時間数が多くなっているとか、放課後の補習や勉強合宿があったりと、通常コースとは異なるカリキュラムを組んでいます。

コースを改編するということは、カリキュラムに手を加えるわけですから、表面的な変更でない場合は、学校改革の中でも学校側の大きな意気込みが伝わってきます。学校説明会でのアピールなど広報活動が強化されることに加え、受験生の期待感につながるからか、コース改編時は応募者が増えることが多いようです。

新校舎の建設や改築は、入試に対して少なからず影響を及ぼします。校舎の建設中に入試が行われた場合は、仮校舎などの措置が取られることが多いため、応募者は集まりにくくなります。一方で、校舎が完成した後の入試になると、「新校舎」人気で応募者が増える大きな要因になります。その他にも、学校生活の充実のために学校施設に細かな改善を行うことがありますが、入試に影響を与えるまでには至らないようです。

そして、制服の変更で応募者が増加することがあります。応募者の増減に関して大きな要因がないが、女子の応募者が増えている場合は制服の変更が要因になっていることがあります。女子の受験生にとっては「制服」が学校選びの大きなウエイトを占めているのかもしれません。また、「新校舎」も男子より女子への影響が大きいのが普通です。

そして、昨今の厳しい経済情勢を反映しているからか、「特待生制度」が応募者増の要因になることが多くなってきています。新たに特待生制度を導入した学校はもちろんですが、特待生の適用範囲を入試結果上位5%から10%へと広げたりした学校は、おおむね応募者が増えています。