いよいよ決戦の冬に突入です!
ここでは,入試の準備を整えるための「出願書類の書き方」についてチェックをします。「出願書類」は入学の意志と熱意を学校側に知らせるための大事な書類です。記入に際してのポイントをしっかりと押さえ,出願間際になってあわてないよう,早めに準備しておきましょう。
手順1.出願書類を入手する
9月末頃から,各校の募集要項や出願書類の配付が始まっています。公立高校の場合は中学校で配付されますが,私立高校の場合は直接高校から取り寄せる必要があります。郵送してくれる高校もありますが,高校見学も兼ねて直接取りに行くほうがよいでしょう。高校によって配付期間や時間がさまざまですから,まず電話などで確認してから高校を訪問するように注意をしてください。また,書き損じたときのために2通取り寄せておけば安心です。
手順2.出願書類に記入し,その他必要書類をそろえる
出願書類は高校によって異なるので,募集要項をよく読んで十分に注意を払ってください。主な出願書類には,次のようなものがあります。
① 入学願書
各高校で項目は異なりますが,志願者の氏名・住所・生年月日・在籍中学校名・保護者氏名・(緊急)連絡先・写真貼付などは大体共通しています。
《入学願書記入上のポイント》
- a.正確に,丁寧に,楷書で記入します。
- b.書き損じを避けるために,入学願書のコピーをとって下書きをし,考えをまとめてから記入します。
- c.筆記用具の指定がある場合には,それに従って記入します。特に指定がないときは,万年筆(黒)かボールペン(黒)を使用するのがよいでしょう。「フリクションボール」のような消せるボールペンは使用してはいけません。
- d.各項目の記入方法については学校側の指示に従ってください。
- e.志願(受験)者氏名
氏名は戸籍謄本に記載されている字で,楷書で正確に記入します。また,「ふりがな」の場合はひらがなで,「フリガナ」とあればカタカナで記入してください。 - f.住所・生年月日・保護者氏名
eと同様に戸籍謄本の記載内容と異ならないようにしましょう。 - g.写真
必ず証明写真を使用してください。サイズや撮影時期など学校側から指定があればそれらを守ってください。眼鏡をかけて受験する場合は,眼鏡をかけた写真を用意しておきましょう。また,写真がはがれてしまうことも考えられます。万が一に備え,裏面に氏名を記入しておくようにしましょう。
- ※(緊急)連絡先等
保護者の勤務先の住所,電話番号を記入する欄がある場合もあります。連絡先には,携帯電話を持っている場合,その番号も記入しておきます。補欠合格・追加合格になった場合,自宅に連絡が取れないときは緊急連絡先の電話番号が使われます。学校側はできるだけ早く「入学の意志」を確認する必要があり,急いでいるので,複数の連絡先を記入しておくとよいでしょう。
② 調査書
中学校の先生に作成してもらうことになります。12月~1月は,中学校の先生も大変忙しい時期です。冬休みを利用して調査書を作成する先生も多いようです。お願いする際には,以下の3点に留意してください。
- a.時間的余裕を見て,早めに依頼する。→遅くとも冬休み前までに
- b.出願書類提出日を考慮し,「○月△日までにお願いします」と,はっきり期限を確認する。
- c.必要な部数をまとめて依頼する。
③ 志願理由書
推薦入試を中心に,提出する学校が増えています。公立高校では東京都「一般入試」・「推薦入試」の『自己PRカード』,神奈川県『面接シート』,千葉県「前期選抜」の『志願理由書』があります。専用の書類もしくは入学願書に記入する形になります。「志願理由」には,「その学校に何としても入学したい」という熱意を含んだ内容が必要です。志願した動機や理由,高校生活への希望をしっかりと記入し,なぜその学校を選んだのかを伝えることが大切です。
④ 自己推薦書等
文字通り,「自分で自分のことを推薦する」ための書類です。中学校時代の部活動や生徒会活動での実績,ボランティア活動などの経験,英検など取得している資格を書くことにより,自分を徹底的にPRする書類です。
《志願理由・自己PR記入上の注意点》
- a.具体的に記入する
「志願理由」については,ただ単に自分が入りたいことを書くのではなく,その学校を選んだ理由をアピールする必要があります。そのためには,学校案内,募集要項を熟読した上,学校が求めている生徒像を把握しなくてはいけません。また,実際記入するときのことを考え,学校説明会・文化祭・体育祭などの機会を利用して,できるだけ自分の目で見ておくとより具体的に書くことができるでしょう。
「自己PR」も,結果についてのみ記入するのではなく,何をどのように行い,どんな成果があったかなどを詳しく書くほうがよいでしょう。また,志望校に合格した後,それをさらにどう伸ばしたいかについても記入しておくべきです。「自分を合格させると,こんなに特典がついてくる」と高校に訴えるくらいのつもりで書いて,ちょうどよいのです。 - b.中学校の先生に書く内容を伝える
「志願理由」・「自己PR」を書く際,総合的な学習の時間,選択教科,部活動など中学校に関連する事項を記入する場合は,中学校の先生と事前に相談してください。これらの項目については「調査書」にも記入する欄があります。中学校の先生が記入する内容と食い違わないように,書く内容について中学校の先生に伝えておくべきです。
- c.自分のことばで工夫する
いざ書く時点になって,書く内容に困ってしまい,パンフレットの表現を抜き出し,つぎはぎして文章を作る人もいますが,これは好ましくありません。難解な表現や飾りすぎた言い回しを使う必要はありません。自分のことばで工夫して,熱意を伝えることが大切です。
- d.志願理由・自己PR 参考テーマ
今まで述べてきたように,自分で工夫して書くことが大切ですが,書く内容のヒントとして,一般的には以下のようなものがあります。これらを参考にして自分自身の「志願理由」・「自己PR」を作りましょう。その際,2つ以上を組み合わせたり,中学校生活・将来の志望(職業・大学など)と結びつけたりすることも大切なポイントになります。
【志望理由】
- ◆学校の校風・雰囲気(在校生のようす・先生方の熱意)が気に入った。
- ◆大学進学実績がよい。進路指導に力を入れている。
- ◆個性的なカリキュラム・授業を取り入れている。
- ◆授業内容(特に英語)が充実している。
- ◆やりたい部活がある。
- ◆施設・設備が充実している。
※「通学に便利である」,「制服が気に入った」などの理由を第一にアピールすることは好ましくありません。取り入れる場合は,「高校入学後,勉強にも力を入れつつ,野球部で一生懸命頑張りたいと思っています。そのためにも,通学の負担が少ないこの高校が最適であると考えました。」という程度にまとめましょう。
【自己PR】
- ◆得意な教科がある。
- ◆特技・資格がある。
- ◆生徒会・委員会・行事での役職,頑張ったこと。
- ◆部活動ですぐれた実績がある。
- ◆地域の行事・ボランティア活動に参加している。
《志願理由・自己PR記入例》
ここでは,都立高校の『自己PRカード』を使って,記入方法を確認しましょう。都立高校の場合,各都立高校があらかじめ示している「本校の期待する生徒の姿」を踏まえて記入しなければなりません。他の学校では,募集要項の記載からこの「生徒像」をつかむことになります。また,ここで記載されている内容は各高校で異なるため,受験する高校に応じて,記入する内容も異なってきます。くれぐれも同じ内容の使い回しにならないように注意しましょう。
さて,実際の記入について考えてみます。仮に志望校が「日比谷高校」だったとします。「日比谷高校」の「本校の期待する生徒の姿」は,
- 1 自律的人格を育成し,幅広い教養と高い学力を目指す本校の教育目標の下で,誠実に努力する決意を有する生徒
- 2 将来の進路選択について,明確な目的意識をもって,本校への入学を志望する生徒
- 3 学習成績が優秀で,自主的な学習,学校行事,生徒会活動,部活動等,諸活動に積極的に取り組んだ実績を有する生徒
となっています。この「生徒の姿」と自分自身を照らし合わせ,「志望理由について」,「中学校生活の中で得たことについて」,「高等学校卒業後の進路について」を記入することになります。
手順3.出願書類の提出
出願書類の提出方法としては,「持参」と「郵送」の2通りがあります。まずどちらなのかを確認してください。
「持参」の場合,何も受付初日の夜明け前から並ぶ必要はありません。受験番号が1番や2番だからといって,合否に影響することはまずありません。また,日曜日・祭日だけでなく,土曜日も受付をしていない学校もありますので,その点も注意してください。
「郵送」では,「期間内必着」の場合と「締め切り日の消印有効」の場合とがありますから,十分に注意してください。いずれの場合もぎりぎりの出願にならないよう,余裕を持って発送するようにしましょう。募集要項に「速達書留」などと指定のある場合は,もちろんそれに従ってください。
《提出前の最終チェック》
- a.入学願書,調査書など必要な書類を再度募集要項で確認しましょう。また,貼付する写真ははがれてしまったときに備え,裏面に氏名を記入した上で,全面糊付けして貼るようにしましょう。
- b.面接のある学校では,面接時に出願書類に記入した内容について質問されることがあります。面接対策として,書き上げた書類のコピーを必ず取っておきましょう。
- c.出願書類を窓口に直接「持参」する場合は,印鑑,筆記用具(万年筆・ボールペン)を持参し,出願時に記入内容について訂正を求められた際に,スムーズに対応できるよう備えましょう。
これで出願は万全です。入試まで学力向上と体調管理に努め,力を発揮しましょう!