1.入試制度を変更する(試験日・定員・コース改編・試験科目・推薦基準など)
では、初めに入試制度変更について詳しく見ていきましょう。
A.試験日の変更
試験日が変わると他校との試験日重複や逆の重複回避が発生します。試験日が重なると、応募者の各校への分散が起こるため、結果として応募者が減少することになります。いままで、他校と重複していた試験日を別の日に変えることで、重複を避けることもあります。この場合は一般的には応募者が増えることになります。
やむを得ない事情で試験日を変更するというのもあります。ミッション系の学校は日曜日に試験を行わないため、日曜日が試験日になるケースでは、前後どちらかの日に変更します。
B.定員の変更
併設の中学を持つ高校の場合、中学からの内部進学生の増減によって、高校入試の定員が変わることがあります。また、高校の収容人数が決まっているため、入試年度によっては定員を変えざるを得ないことがあります。前年の入学者が多かったために、次年度の定員を減らすということがあるのです。加えて、都県から定員増の要請をされることもあります。
推薦入試と一般入試との両方を行っている高校では、推薦と一般の定員の配分を変更することがあります。
C.コース改編
大学合格実績を上げるために、学校改革の一つとして「特進コース」を作るという動きは、従来よりありました。近年では、科・コースの変更に関していくつかの傾向が見られます。特進コースの上にスーパー特進コースなどの最上位コースを新設するというものです。また、コース名称変更やコースを分割したり統合したりという再編も目立ってきています。カリキュラムを含めた教育内容の充実という学校の取り組みに対して、受験生の期待感から応募者が増加することが多いようです。
D.試験科目の変更
試験科目の変更はそれほど多く行われることはありませんが、変更することで応募者の増減に影響を与えることがあります。試験科目の増加など受験生にとって負担が増えるような変更があった場合、応募者が減るのが一般的です。
E.推薦基準の変更
入試制度変更の中で、応募者の増減に影響を与えることの多いのが、実はこの推薦基準の変更です。一般的には基準上昇→応募者減、基準低下→応募者増の図式が成り立っています。そして、基準を上げたものの、各種検定での加点項目を増やしたため、実質的な基準上昇にならないケースがあります。
F.その他の変更
その他には、受験生に何らかのメリットのある変更をおこなう場合があります。推薦入試不合格者が一般入試を再受験する場合、何点かの加点をされるようにするとか、受験料は不要にするなど優遇措置を導入するとかいうものです。入試制度にちょっとした工夫を加えただけですが、「受けやすい入試」になることで応募者が増えることが多いようです。